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コラム

伝統文化を知ろう!花嫁着物ができるまで〜友禅編〜

【1. 染めのお着物ことはじめ】

知れば知るほど奥が深い、和装の世界。中でも花嫁着物はたくさんの職人技が詰め込まれていて、見るたびにうっとりしてしまいます。しかし、いざお衣裳選びとなった際、一つ一つのお着物に施された技巧を見ても最初は何がなんだかわからず、どれを選べばいいか迷ってしまうもの。
そこで、こちらの記事では花嫁着物に込められた技巧の数々をご紹介していきます。『刺繍編』『織り編』に引き続き、今回は『染め』について。手描き友禅といえば華やかな成人式の振袖のイメージも強いですが、花嫁着物でも華やかな友禅のお着物がたくさんございます。友禅染めの様々な技巧や選び方のポイントなど、参考になさってくださいね。

 

 

【メニュー】
1. 染めのお着物ことはじめ
2. 手描き友禅の特徴
3. 友禅染めのお着物が出来るまで
4. 染めの技法
5. 友禅染めのお着物ご紹介
6. 最後に

【2. 手描き友禅の特徴】

まずはじめに、手描き友禅がどういったものなのかをご紹介してまいります。手描き友禅はその名の通り、「白生地」と言われる白い反物に手で絵を描き、色を挿して模様を描いたものです。紙とは違い滲みやすい布地は、色が混ざってしまわないように様々な行程を重ねて色を加えていきます。そして滲みやすさを活かした「暈し(ぼかし)」や色を重ねていく際に蝋を使って独特の風合いを加えていく「臈纈染」など、様々な技法によって立体感や深みを増した絵に仕上げていきます。

△お着物の半面に臈纈染を施した色打掛。モノトーンで落ち着いた刺繍でありながら存在感のある一枚

また友禅染めのお着物は、幾重にも糸を重ねていく織りのお着物とは違い、薄めの白生地に絵を描いていくので厚みが少なくすとんと体に馴染むのが特徴です。重さもなくボリュームも出ないため、小さい会場でのお式やすらっと見せたいという花嫁さま、張りのない滑らかな質感のお着物がお好きの花嫁さまにお勧めです。

【3. 友禅染めのお着物が出来るまで】

友禅染めについてをご説明したところで、今度は一般的な手描き友禅の技法についてご紹介していきます。京都の京友禅、加賀の加賀友禅、そして東京の東京友禅と、地域によって技法ややり方は様々ですが、大まかな行程は共通しています。

まずは、糸目糊置き。これは、色と色の境界線がにじまないように、下書きの上から色の染まらない糊で細い線を引いていく工程です。この工程をしっかりとしていくことで、色と色が隣り合っていてもにじまずに綺麗な模様が描けます。

△青白い線が、糸目糊です。黒く描いた下書きは、水に濡れると消える特殊な液で描かれています。

糸目の「線」が描かれたら、今度は色を染めていきます。地の色を染めてから絵の中に色を入れるのか、その逆なのかは地域や絵柄などにもよるそうです。

すべての色が染めあがり完成に近づいた後に、金彩や金箔などでさらに柄を華やかに彩る装飾を加えて仕上げていきます。このようにして、一つのお着物の柄を描いていくのにいくつもの工程を重ね、何人もの職人さんの手を経てやっと完成する手描き友禅。その途方もない職人技を想像しながら一枚一枚のお着物を目で見て袖を通してみると、一層お着物への感動が増すのではないでしょうか。

【4. 染めの技法】

手描き友禅の絵ができるまでをご紹介したところで、花嫁着物でもご覧いただける技法をいくつか紹介いたします。

<暈し(ぼかし)>

暈し(ぼかし)というのは、その名の通りグラデーションのようにだんだんと色を変化させてゆく技法です。紙に水彩画を描くときに水を多くすると滲んだりとか、色が薄くなっていきますよね。そのような容量で少しずつ濃淡をつけながら、何度も色を重ねて仕上げてゆきます。一色もあれば複数の色を重ねることもあり、背景としてぼかしを入れることもあれば、模様の中に暈しを入れることも。立体化や奥行きが出る、代表的な技法です。

<臈纈染め(ろうけつぞめ)>

臈纈(ろうけつ)のろうは蝋のこと。蝋を重ねた部分は上から色を塗っても色が入らないため、手描き友禅には様々な形で蝋が使われており、蝋を使って染めていく技法を「臈纈染め」と言います。蝋を吹きかけたり、あえてヒビを入れて模様にしたり、蝋の使い方にはまさに職人技が光ります。

<濡れ描き>

濡れ描きというのは、生地を濡らした後に糸目糊を置かずにそのまま描いていく手法です。はっきりとした線として残る糸目が内分輪郭がぼんやりと滲んだり、色と色が混ざったりすることで水彩画のようなやわらかなタッチに仕上がります。暈しなどと合わせて使われることも多い技法です。